解体工事を行うと固定資産税が上がってしまう?解体工事と固定資産税の関係

建物の解体工事を行うと、固定資産税が上がってしまうのではと考えている方も多いのではないでしょうか。このことが理由の一つとなって、日本では現在「空き家問題」が増加しています。
この記事では、家屋を解体した後、固定資産税がどのように変化するのか、またなぜ解体工事を行うと固定資産税が上がってしまうのかなどの理由を解説していきます。

固定資産税とは?

まず、固定資産税とは何かを考えてみましょう。
固定資産税とは、土地や家屋及び事業用資産を所有している人が納めなければならない税金のことです。毎年1月1日の時点で課税され、市町村が徴収します。
では、固定資産税額は、どのように定められるのでしょうか。
固定資産税額は、固定資産評価額と呼ばれる、各自治体が定める納税額規準に従って決まります。注意点として覚えておきたいのは、家屋や土地の販売価格が固定資産評価額になるわけではないという点です。
固定資産評価額は、3年に1度見直しが行われます。

解体工事を行うと固定資産税が上がる?!

家屋を解体すると、家屋に対してかけられる固定資産税は無くなるのではないでしょうか。
確かに家屋への課税は無くなります。しかし、解体工事を行った後、固定資産税が上がってしまう可能性があります。
なぜなら、家屋が建っている土地には「住宅用地に対する固定資産税特例借置」という制度が適用されるからです。
この制度により、最大で1/6に固定資産税が軽減されます。ですから、解体工事を行った後に、土地の固定資産税が上がってしまうといった考えには誤りがあり、正確に言うと、通常の固定資産税額に戻るということです。 住宅用地には固定資産税の特例制度がありますが、そのため老朽化した空き家がそのまま放置されてしまう原因の一つにもなっています。
老朽化した空き家の放置は、現在日本でも社会問題として取り上げられています。老朽化した空き家の放置を回避するため、政府は、2015年に「空き家等対策特別借置法」を制定しました。
「空き家等対策特別借置法」では、倒壊等の危険がある老朽化した空き家や衛生上問題がある放置された空き家などに対して「特定空き家等」に指定し、固定資産税の住宅用地特例から除外するという処置を定めています。放置された老朽化した空き家は、「特定空き家」に指定されてしまうと税金の負担が重くなってしまうので、改善できない場合は、家屋を解体するか売却することをおすすめします。

固定資産税を安くする方法

固定資産税の割課期日は、1月1日です。
つまり、固定資産税は、1月1日の時点で建物の所有者に対して課税されます。このことから、1月1日の時点で土地に住宅が建っていれば「住宅用地に対する固定資産税特例借置」が適用され、固定資産税が軽減されることになります。
通常、1月1日の時点で土地に家屋などの建物が建っていない場合、「住宅用地に対する固定資産税特例借置」を受けることはできませんが、建て替えを目的に家屋を解体した場合は、特例処置を受けることができます。この制度を「住宅用地の建て替え特例制度」と言います。
この制度を適用するには、次の5つの要素をすべて満たしていなければなりません。
  • ・当該土地が前年1月1日において住宅用地であったこと
  • ・1月1日の時点において当該土地で住宅建設工事が行われていて、翌年の1月1日までに完成すること
  • ・住宅の建て替えが建て替え前と同一の敷地で行われていること
  • ・当該年度と前年度において土地の所有者が同じであること
  • ・当該年度と前年度において建物の所有者が同じであること

まとめ

解体工事と固定資産税の関係を考えてきました。
固定資産税とその割課期日である1月1日には、納税額の面で深い関係性があります。
事前に、解体工事を行う日程をよく考慮して調整すると良いでしょう。
また、老朽化した空き家には、特例処置が適用されない恐れがあります。
「特定空き家等」に指定されてしまうと行政処置をとられてしまう可能性もありますので、税金や日程を考慮した計画を立てて解体工事を検討していきましょう。