未登記の建物の解体工事の流れと、注意点とは

亡くなった親族から建物を相続したけれど、その建物の登記が行なわれていなかったというケースがまれにあります。
登記がされていなくても、他に建物の所有権を主張する人がいなければ、その建物の解体工事をすることは可能です。しかし、未登記の建物の解体工事をするにあたり、注意しなければならない点があります。
そして、未登記の建物の解体工事をする場合、事前に解体工事の流れを知っておくことは、建物所有者にとって、安心してスムーズな解体工事を行なっていくために必要なことです。
今回は、未登記の建物の解体工事の流れと、解体工事に伴う注意点を見ていきましょう。

未登記の建物の解体工事の流れ

未登記の建物の解体工事の主な流れは、登記がされている建物の解体工事の流れとそれほど変わりません。解体工事の流れは次の通りです。
  1. 解体工事の契約
    事前に複数の解体工事業者に見積もりをとることも可能です。
    各解体工事業者の見積もりの内容を十分に比較検討して、もっとも信頼できる安心な解体工事業者と解体工事の契約を交わしましょう。
  2. 必要書類の提出
    必要書類の提出は、ほとんどの場合、解体工事業者が代行してくれます。
  3. 事前準備
    建物や家屋内の掃除や片付け、不要品の処分、近隣住民への着工前挨拶、ライフラインの停止手続きなどの事前準備を行ないます。
    近隣住民への着工前の挨拶に関しては、挨拶に出向く際、解体工事会社の担当者に同行してもらうことをおすすめします。解体工事会社の担当者に同行してもらうことによって、解体工事についての質問にもその場で答えられるので、近隣住民の一層の理解と協力を得られるに違いありません。
  4. 足場と養生シートの設置
    騒音や粉じんによる近隣住民への迷惑を考慮し、足場を設置して養生シートや防音シートなどで建物全体を覆います。
  5. 屋根や内装材を撤去する
    屋根材や断熱材、ボード類、または住宅設備機器などを撤去します。
  6. 建物本体の解体工事
    建物の本体、主要構造部の解体工事を行います。
    一般的に、建物本体の解体工事は重機を利用して行われます。
  7. 基礎の解体工事
    重機を利用して、基礎部の解体工事を行います。
    必要であれば、この時に付帯工事、つまり地中埋設物やブロック塀、または庭木や庭石などを解体したり、または撤去したりします。
  8. 整地
    解体工事を行なっている敷地内を平らにならす整地作業を行って、解体工事は終了します。
  9. 解体工事業者からの必要書類の受け取り
    解体工事に伴う必要書類、例えば、取り壊しマニフェストなどの必要書類を解体工事業者から受け取る必要があります。

未登記の建物の解体工事後の手続き

登記されている建物の解体工事をした後に行なわなければならない手続きは「建物滅失登記」です。しかし、未登記の建物を解体工事で取り壊した時は、通常の「建物滅失登記」とは異なった手続きが必要になります。
未登記の建物の解体工事をした場合、必要になる手続きは、「家屋滅失届」です。「家屋滅失届」とは、未登記の建物の解体工事を行った際に行う手続きで、法務局にではなく、各市町村の窓口に提出します。
窓口への提出だけでなく、最近では、郵送やインターネットの公式サイトからでも申請できる場合があります。「家屋滅失届」という名称は、各市町村によって呼び方が異なるので、事前に各市町村に確認することをおすすめします。

まとめ

未登記の建物の解体工事は可能ですが、解体工事終了後に行う手続きに違いが出てきます。未登記の建物を解体した際は、解体工事終了後に「家屋滅失届」を各市町村に提出しましょう。もし、この手続きを怠った場合、既に存在していない建物に対して固定資産税が課税され続けるという結果になってしまうので注意が必要です。
未登記の建物や家屋の場合は、通常よりも念入りに確認や準備をし、解体工事の流れをよく理解したうえで、スムーズな解体工事を行なっていきましょう。