大阪市で解体工事を依頼する前に考えるべきこと~大阪市の補助金・助成金制度~

現在、大阪市に限らず日本全国で空き家は社会問題となっています。
このため、多くの自治体が「空き家問題」の解決のためにさまざまな補助金制度や助成金制度を用意しています。空き家の解体工事に関するもの、または解体工事に付随するものまで、その制度はさまざまです。
しかし、自治体によるそれらの補助金・助成金制度は、都道府県単位で実施されているのではなく、市町村単位で実施されているものなので、空き家の所有者側に事前調査が求められています。
では、現在の大阪市の補助金・助成金制度はどうなっているのでしょうか。

防災空地活用型除却費補助制度

大阪市は、令和3年3月に「大阪市密集住宅市街地整備プログラム」を制定し、これに基づき、令和3年から解体工事に関しての補助金制度(防災空地活用型除却費補助制度)が実施されています。
主な補助要件は?
  • ・幅員6m未満の道路に面する敷地に存する昭和56年5月31日以前に建築された木造住宅の解体
  • ・避難に有効な大規模空地や幹線道路に隣接していない敷地
  • ・面積が50㎡以上で、地域の防災性の向上に有効な形状である敷地
  • ・土地所有者等が5年以上の土地の無償使用貸借契約を市と締結
  • ・土地所有者等、地域住民等、市の三者で防災空地の管理等に関する協定を締結
補助内容は?
  • ・木造住宅の解体工事
    木造住宅の解体工事費用の一部を補助しており、補助率は2/3です。
    補助限度額は、戸建住宅であれば100万円の補助で、集合住宅であれば200万円の補助を受けられます。
    さらに、長屋等の一部を解体する工事の場合は100万円の補助金となります。
  • ・空地の整備
    空き地の整備費用の一部を補助しており、補助率は2/3です
    整備項目は、舗装、植栽、防災倉庫やかまどベンチ(災害時にはかまどとして使用できるベンチ)の設置等となっています。
    なお、補助限度額は、120万円です。

大阪市の補助金・助成金制度を利用するにあたっての注意点

少しでも解体工事費用を安く抑えたい方にとっては、市町村が実施している補助金や助成金制度はとても助かります。
しかし、それらの補助金や助成金を利用するには注意点もあります。各市町村で取り決められているそれらの補助金、助成金制度ですが、その制度については解体工事業者も知らない場合が多いのです。
ですから事前に、空き家所有者は、自分でその補助金や助成金制度が、現在実施されているかどうかを確認しましょう。市町村ごとに募集件数や、募集条件が制限されている場合があります。
さらに、限度額に達して、今年度の補助金や助成金制度の受付がすでに終了している場合もあります。現在、解体工事を考えている空き家が、補助金や助成金の対象の条件に該当しない場合もあります。ですから、空き家所有者は、事前に直接市役所に出向いて相談してみると良いかもしれません。
さらに別の注意点もあります。もし、空き家所有者が、空き家の解体工事後に売却を考えているなら、解体工事を行う前に現状での空き家の売却値段も把握しておきましょう。
なぜなら、「解体工事をしないで現状のままでの売却値段」と「解体工事をして更地にしてからの売却値段」がトータルであまり変わらないケースがあるからです。
その大きな理由の一つには、空き家の購入者が建物建築と解体工事を一緒に行うと、その工事費用が割安になるケースがあるからです。個人が解体工事を依頼することは人生でも一度あるかないかの特別なことですが、専門の建売業者が解体工事を依頼することはままあり、受注件数なども考慮されるため、素人が依頼する解体工事費用と専門の建売業者が発注した解体工事費用では大きな差が出ることもあります。
そのため、専門の建売業者は、古くて老朽化した空き家でも、そのまま買い取った後に新たな新築住宅を建てて販売することが少なくありません。

まとめ

有効活用しない空き家を保有していても良いことは何もありません。
大阪市には、「防災空地活用型除却費補助制度」があります。この解体工事補助金制度をできるだけ上手に利用して解体工事を行ってみませんか。
解体工事の補助金・助成金に関して不安な点は、大阪市役所に相談してみることをお勧めします。