大阪市の解体工事における住宅・建物の取り壊し、または撤去事情

解体工事を行う際に気を付けなければならない点として挙げられるのが、産業廃棄物の処理、または撤去です。
大阪市解体工事を行う際も、様々な法や条例に基づく規制に従って進めていくことが求められています。解体工事を行うにあたって建物や住宅を取り壊し撤去するなかで、特に問題となっている産業廃棄物はアスベスト(石綿)です。
アスベスト(石綿)とは、天然にできた鉱物繊維で「せきめん」「いしわた」と呼ばれています。その繊維が極めて細いため、住宅・建物を取り壊す時、または撤去する時に飛散して人が吸入してしまう恐れがあります。場合によっては、15~50年の潜伏期間を経て、肺がんや悪性の腫瘍などの病気を引き起こすことになります。このような理由から、解体工事に伴い、住宅や建物を取り壊す、または撤去するにあたって、安全性や正しい手順を考慮に入れることが求められているのです。
解体工事は人の命に係わる事柄ですので、然るべき業者にお願いをして、正しい方法で作業を行っていくことが求められています。

解体工事においてのアスベスト撤去

住宅、または建物に吹き付けられたアスベストの飛散を防ぐ方法には大きく分けて二つあります。
一つ目は、飛散防止の環境を整え、アスベストを含む建材を完全に撤去する方法です。
二つ目は、アスベストが飛散しないように建材をしっかりと囲い込み、固化材を吹き付けることで建材の表面に塗膜を作って封じ込めてしまう方法です。
どのような方法を用いるかは、解体工事を行う各現場によって異なってくるため、解体工事依頼者は、事前に解体工事事業者とよく話し合うことができます。

大阪市のアスベスト対策

アスベストは、実に多くの建材に使われています。内装の天井材や床材、外壁材などの成形板にも使われていて、その種類は3000種類を超えます。ですから、解体工事を行うにあたって解体工事業者はこのアスベストを考慮に入れ、取り壊し、または撤去する必要があります。
平成17年6月に、アスベストが原因とされる悪性中皮腫などの疾病で、多くの方が亡くなられたことが大きな社会問題となりました。このため、大阪市は、平成17年7月26日に「大阪市アスベスト対策連絡会議」を設置し、当面の緊急対策に取り組み、同年の8月29日には学識者等から成る「大阪市アスベスト対策専門委員会」が立ち上げられました。
さらに大阪市は、市民の健康、不安の解消などを目的として、平成17年12月に「大阪市アスベスト対策基本方針」を制定しアスベスト対策に取り組んでいます。

大阪市アスベスト対策基本方針

「大阪市アスベスト対策基本方針」はどのように推し進められているのでしょうか?
大阪市は、各種法令や通知等の趣旨に従い、具体的な取り組みを行っています。次の基本事項について、国の関係機関と連携しながら総合的なアスベスト対策を行っています。
  • •市有施設対策
  • •民間施設対策
  • •解体等工事に伴う飛散防止対策
  • •解体等工事に伴い発生する廃棄物対策
  • •大気環境モニタリング
  • •健康対策
  • •支援策
上記の7つの対策方針の中で興味深いのは「健康対策」です。
大阪市は、市民の不安を解消するため、各区保健福祉センターにおいて健康相談を実施しています。
また、アスベストによる健康被害を受けた方に対しては「石綿健康被害救済制度」や「労災保険制度」の案内、また誘導を行っています。
さらに、環境省が実施している石綿ばく露者の健康管理に関する調査事業に参加するなどして健康対策を推し進めています。

まとめ

解体工事には産業廃棄物の処理、または撤去が関係しています。
ですから、解体工事業者を選ぶ際、産業廃棄物の処理、または撤去をしっかりと行ってくれる業者を選びましょう。産業廃棄物は法に基づき適正に処理、または撤去されなければなりません。もし、解体工事業者が産業廃棄物を適正に処理、または撤去しなかった場合、解体工事依頼者も法によって罰せられてしまうことになります。
ですから、解体工事を正式に依頼する前に解体工事業者ときちんと打ち合わせをすることが重要です。解体工事は人の命に係わる事柄です。できる範囲で事前に確認・調査しましょう。