大阪市の解体工事、および空き家対策

今、日本では空き家の増加が問題となっています。ニュースなどでも大々的に取り上げられ、身近で空き家問題を実感している人も多いはずです。大阪市も例外ではありません。空き家には大きなリスクが伴うので、空き家をそのまま放置、又は維持しておくよりも解体工事を行い再利用する方が、空き家の所有者にとっては良いのです。
なぜ、解体工事を行い再利用する方が良いと言えるのでしょうか?その理由と、大阪市の空き家事情、および空き家対策を見てみましょう。

国が定義する「空き家」とは何か?

まず、国が定義する「空き家」とは何でしょうか? 国は、国土交通省の「空き家対策特別措置法」により「一年以上住んでいない、または使われていない家」を空き家として定義しています。 具体的な判断となる要素は何でしょうか?
国土交通省では、空き家として判断するために次の6点を判断基準として挙げています。
  • •住宅の用途
  • •人の出入りの有無
  • •電気・ガス・水道の使用状況
  • •建物の登記、所有者の住民票の内容
  • •建物が適切に管理されているか
  • • 所有者の利用実績、および所有者の主張
注意:上記の判断基準は、家屋や分譲マンションなどで使われる判断基準です。アパートは基準が異なりますので注意してください。

空き家に伴うリスクとは?

所有者にとって「空き家」のリスクとは何でしょうか?
所有者にとって空き家を放置するリスクは、次の通りです。
  • •老朽化などで資産的価値がなくなる
  • •倒壊などによる第三者への被害
  • •固定資産税の値上がり
  • •自治体による強制介入
※自治体による強制介入は、法律による介入になります。
国土交通省は、2014年11月に空き家対策特別措置法を交付しました。
この空き家対策特別措置法は、放置され倒壊の危険がある建物や、老朽化や破損などによる景観を損なう事態、犯罪に利用される恐れが増えたために、国としてそのようなリスクを減少させることを目的に制定されました。空き家対策特別措置法の制定により、空き家を自治体が取り仕切ることができるようになります。
しかし、国として空き家をすべて把握することは困難なため、実施団体は「市区町村」となります。

大阪市の空き家対策について

では、大阪市の空き家に対しての見方、および対策としては、どのようなものが挙げられるでしょうか?
大阪市では、専門家団体等や関係局と連携しながら区役所が拠点となり、総合的な空き家対策等を効果的、および計画的に行っています。
例えば、大阪市には、「大阪市空き家等対策計画」が制定されています。この計画は、総合的な空き家対策を効果的、および計画的に推進することを目的として、大阪市における空き家対策の方針や具体的な取り組みなどを市民に知らせるために計画されました。国土交通省が制定した、空き家対策特別措置法に基づき、平成28年度から令和2年度を計画期間として、地域、および住民に近い区役所が拠点となって、地域や専門家団体等とも上手に連携しながら空き家対策に取り組んできました。
本計画の期間が満了した令和3年4月に、令和3年度から令和7年度を計画期間とする「大阪市空き家等対策計画(第2期)」を策定しました。

大阪市の空き家の現状

大阪市の空き家の現状は、どうなっているのでしょうか?
大阪市の空き家数は、約28.6万戸(うち戸建は約3.6万戸)で、空き家率は17.1%です。全国平均の13.6%より大阪市は高い水準です。利用、または流通に関係のない「その他の空住宅」の空き家が、7.6万戸と増加傾向にあります。さらに、戸建住宅の空き家では、大阪市の空き家数の7割を占めています。
大阪市の調査によると、現在空き家となっている住宅を取得した経緯は、購入(新築、建売、中古)が57.9%と最も多く、次いで相続が27.0%を占めています。
では、空き家所有者が空き家にしておく理由とは何なのでしょうか?
空き家にしている所有者に、解体工事で更地にしたり、リフォームをしたり等で有効利用しない理由を聞いたところ、「物置として必要だから」が44.9%と最も多く、次いで「費用をかけたくないから」が33.9%、「特に困っていないから」が37.7%、そして「将来、自分や家族が使うかもしれないから」が36.4%となっています。

大阪市の解体工事事情

大阪市は解体工事に関して、どのような見方を持っているのでしょうか?
大阪市は解体工事を行う際に利用できる解体費用補助制度を平成23年度から導入しています。
この補助制度は、「大阪市狭あい道路沿道老朽住宅除却促進制度」と呼ばれるものです。大阪市では、狭あい道路(4m未満)にある老朽化した住宅(昭和25年以前に建てられた木造住宅)の解体費用を補助しています。制度を利用できるのは「特に優先的な取り組みが必要な密集住宅市街地」です。
注意点:昭和26年以降に増築や建築された部分のある住宅は、増築・改築された部分はこの制度の対象外となります。
解体工事費用または大阪市が定める補助基本額の内、低い方の2分の1を予算の範囲内で補助します。補助限度額は、戸建住宅で75万円、集合住宅で150万円、長屋等の一部解体は75万円となります。
さらに、家賃補助も存在します。家賃補助では、一般世帯で家賃差額の2分の1以内、月額上限25,000円で、高齢者世帯で、家賃差額の3分の2以内、月額上限35,000円となっています。
注意点:補助金の申請は、解体工事の契約、解体工事を行う前にする必要があります。さらに、補助金は、解体業者へ解体工事費を支払った後に振り込まれることになります。

まとめ

今回は、大阪市と空き家、解体工事事情、及び対策に関してお伝えしました。
確かに、空き家の所有者にとって、空き家のままおいておくことにはいろいろな理由があるかもしれません。しかし、結論として言えることは、空き家にしておくことに伴うリスクを考えると、解体工事を行って、空き家を再利用、もしくは撤去する方が良さそうということです。
大阪市は、空き家、そして解体工事に関しては、より地域、住民に近い区役所が拠点となって専門団体等や関係局と連携しながら、総合的な空き家等対策を効果的、および計画的に行っています。
大阪市で空き家を所有されている方は、空き家をそのまま放置、又は維持しておくよりも解体工事を推し進め再利用することを検討してみてはいかがでしょうか。