解体工事を行うにあたりアスベスト使用物件の見分け方

アスベストは過去に国内の多くの建築物に使用されていましたが、現在ではアスベストを使用した建築物は順次禁止されてきています。
その理由は、アスベストの粉じんを吸い込むことで深刻な病気を引き起こすことが知られてきたからです。さらに、アスベストが使用された建物の解体工事を行う際には、大気中への飛散防止対策が法律で義務付けられています。
では、どのようにアスベストの有無を見分けることができるのでしょうか。
今回は、アスベスト使用物件の見分け方を中心に解説していきます。

アスベスト物件の見分け方

一般の人では、建物にアスベストが使用されているかどうかを見分けるのは困難です。
なぜなら、アスベストは見ただけで判断することが難しい素材だからです。では、どのように見分けることができるのでしょうか。
幾つかの方法を見ていきましょう。
建物の設計図
建物の設計図があれば、そこからアスベストが使用されているかどうかを確認することができます。
さらに、矩計図や特記仕様書や仕上げ票から、建物に使用されている建材名や商品名を確認することが可能です。
建築年代
建物が建てられた年代を調べることで、その建物にアスベストが使用されているかどうかを確認することも可能です。
建築物へのアスベストの使用が始まったのは、1941年頃から1955年までで、その頃から、アスベストはさまざまな建築物に使用されてきました。
その後、アスベストに関していろいろな法改正があり、年々使用することが厳しくなっていきました。
しかし、1975年より前に建てられた建物には多くのアスベストが含まれている可能性があります。
さらに、日本国内でのアスベスト使用のピークが1970年から1990年だとされていて(国土交通省の調査による)、この時期に建てられた建築物には、アスベストが使用されている可能性が高いと言えます。
専門業者での調査
さらに別の方法は、アスベスト調査を専門業者に依頼することです。
費用の相場は、アスベストの有無を確認するための定性分析は約2万から6万円程度です。
含有量の確認までを行うと、約4万円から10万円程度になります。
現在、日本国内にはアスベスト調査会社が幾つもありますが、各会社によって調査の方法や調査体制には違いがあるようなので、事前に良く調査して確認したうえで専門会社を選択しましょう。
信頼できる調査会社を探すには、インターネットなどを使って調査することをおすすめします。

※令和3年から、法改正によって、解体工事を行う前にアスベスト調査を行うことが義務化されました。

アスベストの飛散防止対策

アスベスト飛散防止対策として挙げられるものは2つあります。
「囲い込み工法」と「封じ込め工法」です。この2つの対策は、すぐにアスベストを除去する「除去工法」が使用できない場合に用いることができる方法です。
囲い込み工法
囲い込み工法は、アスベストが露出している部分の外側から、非アスベスト素材で覆ってしまって完全に密封してしまう方法です。
リフォームなどを行なう時には、この方法が良く用いられます。
封じ込め工法
封じ込め工法は、アスベストの素材に薬剤を吹きかけて表面を覆い、飛散しないように固めてしまう方法です。

この2つの工法は、完全にアスベストを除去してしまう「除去工法」よりも工事費用を安く抑えられるというメリットはありますが、アスベストの飛散を100%防止できるわけではないので注意が必要です。

まとめ

今回は、アスベストが使用されているかどうかを、どのように判断すれば良いかを考えてきました。
一般の人がアスベストの有無を見ただけで判断することは困難です。
しかし、自分で行なえることもあります。建物の設計図で調べることや建物が建てられた年代を調べることなどです。
アスベスト調査のための準備をし、快適な解体工事を行っていきましょう。